ヨーク代替競馬1日目

火曜日からレポートしているヨーク競馬場のイボア・ミーティング、紆余曲折の末、昨日の金曜日に代替レース第1弾が行われました。
まず二つのGⅠ戦はニューマーケット競馬場のジュライ・コース。
ヨークシャー・オークス(GⅠ、3歳上牝、1マイル4ハロン)はヨークの登録からオブライエン厩舎の3頭が取り消し、代わって同じアイルランドのボルガー厩舎からラッシュ・ラッシズ Lush Lashes が出走してきました。ボルガー師は、この牝馬をヨークの重馬場では決して走らせないと宣言していましたが、ニューマーケットの良馬場なら話は別。6頭立てではダントツの(イーヴン)1番人気に推され、順当にGⅠ制覇を達成しています。
前走グッドウッドではスローペースと前が塞がる競馬のため本領を発揮できませんでしたが、ここでは最後方から一気に抜け出し、2着ダー・レ・ミ Dar Re Mi に1馬身4分の1差を付けて完勝。勝タイムの2分25秒11はコース・レコード。格の違いを見せ付けました。
3着は2着馬と同じゴスデン厩舎のミチータ Michita 。更に3馬身半の差が付いています。6頭立てとは言いながらGⅠでの2・3着独占は立派なもの。勝った馬がスーパー牝馬ですから満足でしょう。
続いてナンソープ・ステークス(GⅠ、2歳上、5ハロン)。現時点での5ハロンの猛者が勢揃い、14頭立てで行われました。当初予定されていたヨークでは馬場状態からはるかに少ない頭数で争われるはずでしたが、ニューマーケットの良馬場が幸いして極めてコンペティテイヴな競馬になりましたね。
人気はロイヤル・アスコットのキングズ・スタンドに勝ったエキアーノ Equiano (10対3)。他にも去年のこのレースを2歳馬で制したキングスゲイト・ネイティヴ、去年3着のダンディー・マン Dandy Man など多士済々。
この混戦を抜け出したのは、何とボーダーレスコット Borderlescott 。堅実な馬で16対1の人気でしたが、やはり中穴と言ってよいでしょう。勝タイムの56秒09は、これまでの記録を1秒も縮めるコース・レコード。ヨークシャー・オークス同様、馬場状態を端的に表す結果となりました。
2着は半馬身でナショナル・カラー National Colour 、南アフリカからの挑戦です。3着は更に1馬身でキングスゲイト・ネイティヴ。去年の勝がフロックでないことを印象付けています。
期待の1頭、サーキーズ・シークレット Sakhee’s Secret はスタートでゲートに脚をぶつけ、最下位に敗退。終わって直ぐに騎手が下馬しています。
ボーダーレスコットを調教するロビン・バスティマン Robin Bastiman さん。調教師暦40年のヴェテランですが、パターン・レース優勝はこれが初めてです。ヨークシャー州で管理馬わずか14頭という小厩舎ですが、これでGⅠ 調教師の仲間入り、喜びも一入でしょう。父を手伝う28歳の娘・レベッカさんと感激を共にしました。唯一つ、地元ヨークでの勝利ではなかったことが残念なところ。
もう一つイボア開催で予定されていたパターン・レースから、ジムクラック・ステークス(GⅡ、2歳、6ハロン)がニューバリー競馬場で行われています。こちらも当初の登録からかなりのメンバーが組み替えになり、シャウィール Shaweel が12頭立ての混戦を制しました。
2着は2馬身4分の1でマスター・ノヴェール Master Noverre 、3着は更に1馬身4分の1でジョーブ Jobe 。
1番人気(11対8)に支持されたマリン・ボーイ Marine Boy は7着、コヴェントリー・ステークスに勝ったアート・コニサー Art Connoisseur は8着惨敗です。
勝馬の調教師はマーク・ジョンストン、騎乗したグレグ・フェアレー Greg Fairrey くんにとってはパターン・レース初勝利となりました。
この他イボア開催の目玉でもあったイボア・ハンデは、ジムクラック同様ニューバリー競馬場で行われ、オール・ザ・グッド All The Good という馬が勝っています。
ただしこのレース、名前をニューバー・ハンディキャップと変更して実施されました。
ニューバー Newburgh とは、競馬場のあるニューバリーの古名。ノルマン語なんですねぇ~。
そもそもイボア Ebor とは、ヨーク市の古名・イボラクム Eboracum の略で、ヨーク市の大司教が署名する際に、自身の名前の前に「Ebor」とサインする慣わし。
従ってイボア・ハンデはヨークの象徴、代替されてニューバリーに移った関係からニューバー・ハンデとしたのは、まぁ、一種の言葉遊びみたいなもの。ユーモアと解しても良いのでしょうか。
また一つ勉強になりましたな。
ところで代替競馬の2日目、今日はニューマーケット競馬場でインターナショナルとラウザー・ステークスが、グッドウッド競馬場ではグレート・ヴォルティジュール・ステークスが行われます。
大興奮の一戦、インターナショナルは予定通り、デューク・オブ・マーマレイドとニュー・アプローチの対決が見られます。当初の登録からリンガリが欠場、代わってミーハン厩舎のキャット・ジュニア Cat Junior が参戦。枠順は当然ながら完全にやり直しになっています。
馬場状態が予定の重馬場から良馬場に激変しましたからね。ここはデュークが有利かも。
以上、イボアめミーティングで予定されていたパターン・レース9鞍のうち、6鞍が代替。初日に組まれていたアコウム・ステークスと2日目のロンスデール・カップは中止。
最終日、今年から4日間開催となって初めて行われる予定だったストレンソール・ステークス(GⅢ、1マイル208ヤード) Strensall Stakes は、第1回から中止という珍記録を樹立したことになります。

 

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